2025年06月16日
保険診療 自費診療 治療説明 インフォームドコンセントにご協力ください。

日本には国民皆保険制度があり、それにより個人負担額を軽減し医療費を低く抑えることが可能となりました。
日本国憲法第25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とされています。
国民皆保険制度の成すところは『最低限度の生活』を営むことができることにあり、言い換えるならば必要最低限生きていることができる制度であると捉えることもできます。
「健康で文化的な」を言い換えると「痛みが無く、ある程度の活動も可能な」といったところでしょうか?
歯科医療関係者が自分や身内の歯科治療に国民皆保険制度(俗にいう保険診療)を利用しない理由はいろいろあると思いますが、少なくとも自身に最低限度の治療を行うことに抵抗があることは言うまでもありません。
この『最低限度』というワードを取り払った『健康で文化的な生活』を営むことが可能な治療が自由診療(俗にいう自費治療で100%自己負担の治療)ということになります。
歯科医院は患者様に対して無断で保険診療を行うことは医療法に定められた「説明義務」に違反するものとしているため、治療の目的、方法、期間、費用、予想される効果やリスクなどを、患者様が理解できるように分かりやすく説明することが求められています。
「歯が痛いのに矯正を勧められた」「望んでないのに説明を受けた」という苦情を少なからず目にすることはありますが、もしも『安くて喜ばれるから』という理由による説明のない保険治療を行ったのち患者様から『自由診療の説明がなかった』との訴えを起こされると説明義務違反として歯科医院が処罰対象になる可能性があります。
痛いのに説明なんて聞いていられない!というお気持ちはお察ししますが、インフォームドコンセント(歯科治療において、患者さんがご自身の治療に関する情報を十分に理解し、納得した上で治療の同意を与えるプロセス)を理解していただき医療法第1条の4第2項、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」という説明義務に対する違反の防止にご協力いただきますようお願い致します。